中村 中コメント

今年は、一日一日の過ぎて行くスピードがとても遅く感じます。
それは「ゆっくり」という意味ではなくて、「慎重」とか「緊張感」のあるイメージです。
私は今年でデビュー５周年を迎えました。
2011年の元旦。
私にとって、今年は忘れられない一年になるのだとばかり思っていました。

実際は、私だけではなく、
日本中の人たちにとっての忘れられない一年になってしまいました。

些細な事でも、なにか前を向くための力になるものはないだろうか、
なにか支えになるものはないだろうかと探してしまう毎日でした。

色々な感情がある中、無力さを感じた人もいると思います。
でも、
微力だけど無力とは言い切れない部分だって、自分の中にあると思う人もいると思います。

だとしたら、
前を向くための力は必ず誰にでもあるはずで、
今はそれの使いどころなのだと私は思っています。

今年の年末に、中村 中のデビュー５周年を締めくくるライブを企画しました。
「ソロバン」という、なんだかひょうきんなタイトルですが、
ひとりきりでステージに立つソロライブと、
ミュージシャンを迎えてのバンドライブとを用意して、
「ソロ」と「バンド」で「ソロバン」という、
やっぱり説明してもひょうきんな企画ですが、それぞれに副題を付け加えました。

副題を考える際に、やはり今年あった出来事を振り返りました。

私は人として何が出来るだろうか。
私が欲しかった勇気を、私ひとりで誰かに渡せるのだろうか。
音楽で壊れたものが直るわけじゃない事はわかっている、
だけど、人の心を励ます事が出来る事も知 っている。
そして、
そんな私も、いつも、いつでも、必ず誰かに励まされて生きている。

そんな思いを副題に加えました。

私にとって、あなたにとって、
忘れられない一年にはやっぱりどうしてもなると思いますが、
振り返った時に、このライブを通して、
私も、あなたも、勇気を持てたねと、笑い合えるように歌います。

中村 中