たとえばぼくが死んだら


70年代半ばから80年代前半にかけて活動し、カルト的な存在となった女性シンガー・ソングライターである森田童子が、1980年に発表した四枚目のオリジナル・アルバム『ラスト・ワルツ』で発表した楽曲。活動停止後の1993年に映画「高校教師」の主題歌として使用され、シングル・カットされるという異例の扱いを受けている。

原曲はアコースティック・ギターを軸にストリングスなどが重なるフォーキーなサウンドだが、本作では真壁陽平のギターのシューゲイザー的なアプローチにより、荘厳なロック・ナンバーへと変貌している。






誕生


中村 中にとっては「夜会」などでも深い因縁のある中島みゆきが、映画『奇跡の山 さよなら、名犬平治』の主題歌として書き下ろした1992年のシングルで、同年のアルバム『EAST ASIA』にも収録されている。

パートナーの存在の大切さを綴った歌詞は、まさに舞台「ベター・ハーフ」のテーマをストレートに訴える内容で、中村 中の歌声も、どこか中島みゆきの力強さが憑依したかのようにドラマチックだ。

愛されたい



中村 中が2014年に発表したアルバム『世界のみかた』に収録したオリジナルで、音源もその時のもの。初めてセルフ・プロデュースで臨んだアルバムのラストを締める重要な楽曲である。



愛してる



シンガー・ソングライターの橘いずみ(現在は榊いずみ)が、1993年にリリースしたセカンド・アルバム『どんなに打ちのめされても』の収録曲。起伏の激しいドラマチックなラヴ・ソングだが、テクノロジーを駆使したレディオヘッド以降のコンテンポラリーなアプローチは、プロデューサーである根岸孝旨の面目躍如たるものがある。



サン・トワ・マミー



ベルギーの歌手、アダモが60年代に放った世界的なヒット曲。日本のシャンソンの女王の異名で呼ばれた越路吹雪は、1964年に岩谷時子による日本語詞でシングル・リリースした後、生涯の代表曲として歌い続けた。他にもRCサクセションをはじめ、多くのアーティストがカヴァーしている名曲だが、本作は越路吹雪の歌う日本語ヴァージョンをもとにカヴァーしている。
 
 
 
このように本作は多くの歴史的な名曲を収めた作品だ。楽曲ごとの声色やヴォーカル・スタイルの選択からは、原曲への敬意を表明しつつ、心身を最大限に駆使して自らの歌へ昇華する中村 中のヴォーカリストとしてのキャパシティの大きさが伝わってくる。

サウンド面ではカヴァー曲でプロデュースを担当している根岸孝旨とのチームワークでの、コンテンポラリーな刺激に満ちたアプローチが印象的で、これは今後の彼女自身の音楽制作のポイントとなるに違いない。

それに加えて中村 中本人のオリジナル「愛されたい」が入っていても、なんの違和感もないことにも驚かされる。本人にしてみれば、デビュー前にストリートで演奏していた頃から、スタンダードとオリジナルを交えて披露するのは自然なことなのかもしれないが、これはシンガー・ソングライターである彼女自身の卓越した作詞作曲能力の証でもあるだろう。





2017年4月29日 志田歩
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